コラム詳細
『メダリスト』ー愛知県を舞台にしたフィギュアスケート漫画ー
──人生ふたつぶん懸けて、叶えたい夢がある。
愛知県を舞台にしたフィギュアスケート漫画『メダリスト』をご紹介します。
『メダリスト』は、著者「つるまいかだ」氏のデビュー作として、2020年5月から漫画雑誌アフタヌーン(講談社 刊)にて連載されているフィギュアスケートの漫画です。
関連資料
◆メダリストとは
夢破れた青年・司と、見放された少女・いのり。
でも2人には、誰より強いリンクへの執念があった。
氷の上で出会った2人がタッグを組んで、フィギュアスケートで世界を目指す!(公式サイトから引用)
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勉強や他のスポーツはちょっと苦手だけどフィギュアスケートに情熱を燃やす少女“いのりちゃん”と、自身のフィギュアスケーターとしての夢が破れ色々なコンプレックスと闘いながらもいのりちゃんに夢を託すコーチ“司先生”の奮闘が描かれており、とても綺麗なイラストタッチと熱い展開に心躍らされます。
この漫画の舞台は、大須にある名古屋スケートセンターなど、愛知県内のスケートリンクが多数登場しており、スケート王国愛知を推進する競技・施設課としても嬉しい限り!
愛知県をメインの舞台とした漫画って少ないんです。本当に・・・本当に・・・。
[分かる人には、どこがモデルか分かる場所かも?]
◆メダリストのここが「好き」
~周囲の大人たちの葛藤に共感できる~
いのりちゃんの努力奮闘や、大会での緊張、挑戦もとても熱くて、ドキドキしますが、冒頭書きましたとおり二児の父の私としては、いのりちゃんや他の選手の子供たちを応援する大人たちの努力・葛藤・一喜一憂がとっても共感できて大好きです。
[親ならそう思ってしまうのも凄くよく分かります]
コーチであり、もう一人の主人公でもある司先生はもちろん、いのりちゃんのお母さんや、ライバルである理凰(りおう)くんのお父さんなど、選手の周りにはたくさんの大人たちが居て、子供たちのことを真剣に考えて、時に叱り、時に抱きしめています。
その大人たちも、子供たちと同様に初めての経験ばかりで、子供に辛く当たってしまった自分を後悔したり、反省したり。「既に頑張っている子供に「頑張れ」って良いのか」「失敗するかもしれない試練に子供を向かわせるのが正しいのか」そんな悩みに囚われたりもします。それでも、めげずに挑戦し、成長していってくれる子供たちを見て、もうただただ褒めてあげたいし「ありがとう」と言いたくなる。子育てをしているとそんなシーンにたくさん出会いますし、この漫画にもそんな場面がたくさん描かれています。
[子を見守るお父さんは小さくガッツポーズもしたくなります。]
◆メダリストのここが「凄い」
~フィギュアスケートの魅力を描く画力に圧倒される~
フィギュアスケートと言えば、美しくしなやかな動きの煌びやかな世界です。氷への光の反射や衣装の美しさも相まって、テレビ中継でもとても美しい姿が映されています。
メダリストでは、髪の毛一本、眼の光、衣装の美しさ、指のしなやかさなど、それぞれとても丁寧に描かれていて見ていて嬉しくなります。
[スケートのスピード感が強く感じられる。水彩画のような色の塗りもステキです。]
特に私が「凄い」と感じるのは眼の描写。登場人物の情熱や、悩み、思考が眼からヒシヒシと伝わってきますし、目線の置き方からはスピンしている時の選手の意識がしっかりと感じられます。
著者の「つるまいかだ」氏は、漫画の執筆にあたって実際にフィギュアスケートに挑戦までされたそうで、創作活動への強い情熱が美しい描写を作っているんだなぁと感じ入るばかりです。
[指先や目線の丁寧な描写がとても綺麗です]
◆メダリストのここが「ステキ」
~スポーツの持つ可能性を感じさせてくれる~
主人公の一人であるいのりちゃんは、勉強や他のスポーツが得意ではありません。フィギュアスケートですら、最初から天才的な才能を持っていたわけではありません。ただ「好き」だから、「やってみたい」と思えたから、一生懸命に取り組み、自分を肯定することができるようになりました。
スポーツに限ったことでは無いかもしれませんが、何か一つのことに懸命に取り組むということには、「自分」というものを形作るための大事な要素であると私は信じています。
[スポーツには子供たちを救う力があると感じさせてくれます]
愛知県スポーツ局競技・施設課でも、スポーツを通じた「共生社会の実現」を目指しています。これは、スポーツを通じて、多くの人々が交流していただきたいという思いと共に、障害のある方もない方も、それぞれ等しく全ての人が自分に自信をもって生きていく社会を実現することだと私は感じています。
そういった意味でメダリストの描く世界はとてもステキで、だからこそ私は、スポーツ局競技・施設課の職員として、メダリストという漫画を応援するとともに、皆様に強くオススメしたいのです。
(もちろん、愛知県を舞台にしていただいていることもとても嬉しいので、是非今後も愛知県内の様子をたくさん描写していただきたいです。)